「グラスサンドアートを仕事にしたい!」
そう思った私は、尊敬するさゆみ先生のもとで上級講座まで受講することを決めました。
その私が、まさかの形で「初めてのお仕事」をさせていただくことになった時のことを、お話しさせてください。
はじめての課題作品
中級講座を修了し、認定アーティストとなった私は、上級講座に進みました。
そこでは、実際のお客様とのやりとりを想定した“デモンストレーション”の課題があります。
記念すべき「課題1」は、先生からこんな依頼を受けてスタートしました。
友人への結婚祝いにふたりの名前を入れたものを作ってください。
結婚祝らしい雰囲気で、予算は一万円でお願いします。
先生を“お客様役”として、イメージのすり合わせからスタート。
器の形、砂の色、模様など、ひとつひとつ相談しながら決めていきます。
グラスサンドアートの技術は身につけたけれど、
“お客様とのやりとり”はこれが初めて。
緊張しながらも、たくさん学びながら、少しずつ形が見えてきました。
グラスの種類や文字の入れ方も決まり、さあ次は砂の色の組み合わせのご相談を…というところまできたその時、
私は、ある“個人的な贈りもの作品”をどうしても作りたくなってしまったのです。
そのため、課題はいったんお休みすることになりました。
さゆみ先生に全面的に頼りながら
数週間後、その贈りものを無事にお届けすることができました。
自分が作ったグラスサンドアートを、誰かにプレゼントしたのはこれが初めて。
それが思いがけないほど喜んでもらえて、私はもう…うれしくてたまらなかったのを今でも覚えています。
(このプレゼント作品のことは、また別の機会にお話しさせてくださいね。)
でも、このときの“ちいさな寄り道”が、
のちに「課題1」の作品の運命を大きく変えることになるなんて――
私はまだ、知るよしもありませんでした。
思いがけないご依頼
課題のやりとりに戻ってきて数日後のこと。
さゆみ先生からのご連絡が届きました。

※「ふーじー」というのはさゆみ先生のご主人で、私が英語学習をしていた時の恩師でもあります。
※「おてつさん」は、ご夫妻のお友だちで、今では私にとってもとても頼りになる存在です。

↑ご連絡を目にしたときの私の心の顔(笑)
え?え?まさか…?!
「課題」だったはずのグラスサンドアートが、
「本当のオーダー作品」として動き出すことになったのです!
しかも、依頼主はなんと、私が心から尊敬しているふたりの恩師。
あまりにもびっくりして、しばらくの間周りの音が何も耳に入ってこなかったのを覚えています。
続けて届いたのが、こんなうれしいメッセージでした。

もう本当にうれしくて、胸の奥がじんわりあたたかくなりました。
先生は、私の“グラスサンドアートの先生”であり、“憧れのアーティスト”であり、
そして、作品に込める熱い想いを教えてくださった、私の道しるべのような人。
その先生が大切なお友だちに贈る作品を、私が作らせてもらえるなんて――
こんなに幸せなことってないんじゃないかと思いました。
悲しみの中でも動いた手
あらためて正式なオーダーとして制作がスタート。
まぁるいグラスのフラワーアレンジが思っていた以上に難しかったのですが、
ひとつひとつのお花の大きさと配置のイメージがつかめて、
完成まであとわずか!となっていたときでした。
大きな大きな、悲しくつらいできごとが起こります。
大切な家族のたまがお空に旅立ってしまったのです。
あまりにも突然で、
自己紹介の中でもふれていますが、この時の私は、来る日も来る日も泣いてばかりで
何をすることもできませんでした。
でもその時私の目の前には、制作途中の作品がありました。
大好きな先生ご夫婦が、信頼して私に託してくれた初めてのオーダー。
ご夫妻のおてつさんへのお祝いの気持ちを一日も早く届けたい。
天国のたまもきっと応援していてくれる。
そんな思いが私を支えてくれて、最後まで作り上げることができました。


完成した作品をほめてくださり、喜んでくださった先生のお言葉や、
受け取られたおてつさんからのご連絡が
私の心をどれだけ癒し、励ましてくれたかわかりません。
今でも感謝の気持ちでいっぱいです。
作品がくれた癒しと希望
何年もたった今思い返しても、
あのときあのグラスサンドアートを作ることができたのがとても不思議です。
あれがただの課題作品だったら
最後まで作ることはできなかったかもしれません。
悲しみの中でも、想いを届けたいと願いながら作ったこの作品は、
私にとって忘れられない宝ものになりました。
たまとの別れを受け入れられるまでにはこのあとまだまだ長い時が必要でしたが、
あのつらく悲しいときにおてつさんへのご結婚祝いの作品を作れたことが、
悲しみのどん底から這い上がる力を私にくれたことはまちがいありません。

たま、応援してくれてありがとう。
気持ちを込めた世界にひとつのグラスサンドアートは、
大切な人への想いを形にしてお届けするお手伝いができる。
この作品を通して、私はこのことをあらためて確信することができました。
グラスサンドアートの魅力と温かさをお伝えすることができていたら
心からうれしく思います。
hanatama ~はなたま~ 圭子